服
黒い画面の中に絡み合うカラフルな四角。暮らしの中の小さな裁縫仕事を手掛ける針と糸デザインさんの目には、この形は布が揺れているように映りました。この絵を布で表してみたい。裁縫家らしいそのシンプルな発想からこの作品は生まれました。
ここで使われている生地は、新しく買ったものではなく家にあったもの。息子の小さい頃のズボン、娘のワンピースを縫った生地の残り、自身が卒業制作で作ったワンピースを解体したもの、夫がジャケットを縫った生地の残り。それらが織り込まれ重なり合い、一枚の布になりました。ちょうど家族の時間が絡み合い、積み重なって少しずつ広がっていくかのよう。ささやかながらかけがえのない日々がもつ本当の幸せが胸に迫ります。