陶芸
「みんなで力を合わせて」
らくらく窯(明里三男さん)
障害のある方の作業所として様々な製品を制作するらくらく窯さん。今回は、お皿や一輪挿しなどの定番商品ではなく、絵を見て感じたことをもとに自由に制作されました。
明里三男さんの作品は円筒形が積み重なった力強い造形。実は、いつも作っている一輪挿しを積み上げたものです。今回明里さんが見た作品は「構成」。葉っぱの葉脈のような線が連なる大きな絵です。でも明里さんの作品を見てからこの絵を見ると「葉っぱの葉脈」なんて表面的なことではなく、もっと根源的で渦巻くような自然の力が描かれているのではないかと思えてきます。それは明里さんの作品が、何かが生み出されるときの湧き出るようなエネルギーを放っているからかもしれません。
「複雑な人間関係 それでも繋がりたい」
らくらく窯(大塚秀一さん)
障害のある方の作業所らくらく窯を職員としてサポートしている大塚秀一さん。大塚さんは円筒と線が絡み合う複雑な構造の大作を、根気強く繰り返された重厚な造形で表現しました。
タイトルの示す通り、この作品には、造形上だけでなく実際に人と人とが繋がり合うことの願いが込められていると思います。大塚さんは、自身も熱中して制作しながら、施設の利用者の皆さんがいつもの商品制作では発揮できないような自由な造形を楽しみ、これまでにはない作品を生み出していったのがすごくよかったととても嬉しそうに話されました。本展がそのきっかけになることができたなら、それは私達にとっても大きな喜びであり、これから続いていく繋がりとなることを願っています。
「違う顔の老梅木」
らくらく窯(末田洋子さん)
ごつごつと力強い造形。確かに梅の古木の幹のよう。
らくらく窯の末田洋子さんは、習字の練習みたいなちょっと昔っぽい雰囲気のある「紀」という絵を選んでこの作品を作りました。
末田さんがこの絵の古っぽいイメージから古木のような造形を作られたのか、それともごつごつした造形が先にあって、それに合うイメージの絵を選んだのかはわかりません。でも、末田さんの手が動くのままに土をこねていたら自然と生まれてきたかのような「創造の源」的作品は、筆を動かしていたらそのまま絵になったような「紀」と、何やら通じるものがあるのかもしれません。「違う顔の」というタイトルがまさにその個性を言い当てています。
「魚とゆかいな仲間たち」
らくらく窯(八丁志都子さん)
善三先生がパリで描いた「静物A」。いかにもパリの薄曇りの光のような明るいグレーの中に魚やパン、コップやナイフなどが描かれています。それらを「ゆかいな仲間たち」と呼んでしまうところにまずニヤリとしてしまいます。
そもそも静物画というものは、実際の「もの」を描きながらも、その「もの」の意味や役割よりも、形や関係性を重視します。なので、八丁さんにとって(というか大多数の私たちにとっても)、この絵で一番チャーミングな「魚」が主役であとは「ゆかいな仲間たち」。さらに主役のかわいい魚だけ抜き出して形にしてみました。ヒラメ(カレイ?)の方はお皿になってショップに展示しています。らくらく窯の定番商品にしてもらいたいです。